📌 この記事の結論
簿記3級の決算整理とは?全体像を理解する 決算整理とは、会計期間の末日(決算日)に行う仕訳のことです。期中の取引を記録しただけでは正確な損益を計算できないため、決算整理仕訳によって帳簿の数字を正しい金額に修正します。 簿記3級の試験では、決算整理仕訳は第3問(決算整理後残高試算表の作成)を中心に、配点の大きい問題として出題されます。この分野をしっかり攻略する
この記事でわかること
- 簿記3級の決算整理とは?全体像を理解する
- 決算整理仕訳の全パターン解説
- 補助簿の種類と書き方
- 頻出問題の解き方
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簿記3級の決算整理とは?全体像を理解する
決算整理とは、会計期間の末日(決算日)に行う仕訳のことです。期中の取引を記録しただけでは正確な損益を計算できないため、決算整理仕訳によって帳簿の数字を正しい金額に修正します。
簿記3級の試験では、決算整理仕訳は第3問(決算整理後残高試算表の作成)を中心に、配点の大きい問題として出題されます。この分野をしっかり攻略することが合格への近道です。
決算整理仕訳が必要になる主な場面
- 売上原価の算定:期末商品の棚卸を行い、売上原価を計算する
- 貸倒引当金の設定:売掛金や受取手形の貸倒れに備える
- 減価償却:固定資産の価値の減少を費用として計上する
- 経過勘定の処理:前払費用・未払費用・前受収益・未収収益の計上
- 現金過不足の処理:帳簿残高と実際の残高の差額を処理する
- 消耗品の処理:未使用の消耗品を資産に振り替える
決算整理仕訳の全パターン解説
簿記3級で出題される決算整理仕訳のパターンを、ひとつずつ解説します。仕訳の考え方を理解すれば、応用問題にも対応できるようになります。
パターン1:売上原価の算定(しーくりくりしー)
売上原価の算定は、簿記3級の決算整理でもっとも重要な項目です。「しーくりくりしー」という語呂合わせで覚えるのが定番です。
仕訳の考え方
売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 − 期末商品棚卸高
この計算を仕訳で表すと、以下の2本になります。
仕訳例:期首商品100,000円、期末商品80,000円の場合
- (借方)仕入 100,000 /(貸方)繰越商品 100,000 …「しーくり」
- (借方)繰越商品 80,000 /(貸方)仕入 80,000 …「くりしー」
「しーくりくりしー」は「仕入(し)/繰越商品(くり)、繰越商品(くり)/仕入(し)」の略です。「スッキリわかる日商簿記3級」をはじめ、多くのテキストでもこの語呂合わせが紹介されています。
パターン2:貸倒引当金の設定
売掛金や受取手形が回収できなくなるリスクに備えて、貸倒引当金を設定します。
仕訳の考え方
決算日時点の売掛金・受取手形の残高に対して、一定の割合(貸倒設定率)で貸倒引当金を計算します。すでに設定済みの貸倒引当金がある場合は、差額を補充します(差額補充法)。
仕訳例:売掛金200,000円、貸倒設定率2%、貸倒引当金の前期末残高1,000円の場合
設定すべき金額:200,000円 × 2% = 4,000円
補充すべき金額:4,000円 − 1,000円 = 3,000円
- (借方)貸倒引当金繰入 3,000 /(貸方)貸倒引当金 3,000
パターン3:減価償却
建物・備品・車両運搬具などの固定資産は、使用するにつれて価値が減少します。この減少分を費用として計上するのが減価償却です。
簿記3級で出題される計算方法:定額法
減価償却費 =(取得原価 − 残存価額)÷ 耐用年数
※簿記3級では残存価額がゼロの場合が多くなっています。
仕訳例:備品の取得原価300,000円、残存価額0円、耐用年数5年の場合
減価償却費:300,000円 ÷ 5年 = 60,000円
- (借方)減価償却費 60,000 /(貸方)備品減価償却累計額 60,000
簿記3級では「間接法」(減価償却累計額を使う方法)で記帳するのが一般的です。
パターン4:経過勘定の処理
経過勘定は、決算整理の中でも間違えやすい項目です。以下の4つの勘定科目を正確に使い分けることが重要です。
| 勘定科目 | 意味 | 仕訳のパターン |
|---|---|---|
| 前払費用 | 当期に支払済みだが、翌期以降に属する費用 | (借方)前払○○ /(貸方)○○費 |
| 未払費用 | 当期に属する費用だが、まだ支払っていないもの | (借方)○○費 /(貸方)未払○○ |
| 前受収益 | 当期に受取済みだが、翌期以降に属する収益 | (借方)○○収益 /(貸方)前受○○ |
| 未収収益 | 当期に属する収益だが、まだ受け取っていないもの | (借方)未収○○ /(貸方)○○収益 |
※ 上記の料金・数値は各公式サイトの情報を参照しています(掲載時点)。最新情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
仕訳例:12月31日決算。保険料36,000円を10月1日に1年分前払いした場合
翌期に属する期間:1月1日〜9月30日(9ヶ月分)
前払い金額:36,000円 × 9/12 = 27,000円
- (借方)前払保険料 27,000 /(貸方)保険料 27,000
経過勘定の問題を解く際は、「いつからいつまでの期間か」を図に描いて整理するのが確実です。「スッキリわかる日商簿記3級」でも、タイムラインを使った解説が掲載されており、視覚的に理解しやすい方法として推奨されています。
パターン5:現金過不足の処理
期中に現金の帳簿残高と実際残高に差額が生じた場合、原因が判明しないまま決算を迎えると「雑損」または「雑益」として処理します。
仕訳例:現金過不足(借方残高)3,000円の原因が決算日までに判明しなかった場合
- (借方)雑損 3,000 /(貸方)現金過不足 3,000
※現金過不足が貸方残高(実際が多い場合)は「雑益」で処理します。
パターン6:消耗品の処理
消耗品の処理には2つの方法があります。
方法1:購入時に費用(消耗品費)で処理している場合
決算時に未使用分を資産に振り替えます。
- (借方)消耗品 5,000 /(貸方)消耗品費 5,000
方法2:購入時に資産(消耗品)で処理している場合
決算時に使用分を費用に振り替えます。
- (借方)消耗品費 15,000 /(貸方)消耗品 15,000
問題文をよく読み、期中の処理方法を確認してから仕訳を行いましょう。
補助簿の種類と書き方
補助簿は、主要簿(仕訳帳・総勘定元帳)を補完するための帳簿です。簿記3級では、以下の補助簿の種類と書き方が出題されます。
補助簿の種類一覧
| 補助簿名 | 記録する内容 | 出題頻度 |
|---|---|---|
| 現金出納帳 | 現金の入出金を日付順に記録 | 高い |
| 当座預金出納帳 | 当座預金の入出金を記録 | 中程度 |
| 小口現金出納帳 | 小口現金の支出を記録(定額資金前渡制度) | 高い |
| 仕入帳 | 商品の仕入取引を記録 | 中程度 |
| 売上帳 | 商品の売上取引を記録 | 中程度 |
| 商品有高帳 | 商品の在庫数量・金額を記録(先入先出法・移動平均法) | 高い |
| 売掛金元帳(得意先元帳) | 得意先ごとの売掛金の増減を記録 | 中程度 |
| 買掛金元帳(仕入先元帳) | 仕入先ごとの買掛金の増減を記録 | 中程度 |
| 固定資産台帳 | 固定資産の取得・減価償却・売却の記録 | 中程度 |
※ 上記の料金・数値は各公式サイトの情報を参照しています(掲載時点)。最新情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
商品有高帳の書き方(先入先出法)
商品有高帳は簿記3級の試験で出題頻度が高い補助簿です。先入先出法と移動平均法の2つの記帳方法があります。
先入先出法:先に仕入れた商品から順に払い出す方法です。残高欄には、後から仕入れた商品が残ります。
記帳のポイント
- 受入欄:仕入れた商品の数量・単価・金額を記入する
- 払出欄:売り上げた商品の数量・単価・金額を記入する。先に仕入れた単価のものから順に払い出す
- 残高欄:受入後・払出後の在庫を記入する。単価が異なる商品は行を分けて記入する
商品有高帳の書き方(移動平均法)
移動平均法:商品を仕入れるたびに、在庫全体の平均単価を計算し直す方法です。
平均単価の計算式
平均単価 =(仕入前の在庫金額 + 今回の仕入金額)÷(仕入前の在庫数量 + 今回の仕入数量)
移動平均法では、払出時の単価は直近の平均単価を使用します。端数が出た場合の処理(四捨五入・切捨て等)は問題文の指示に従ってください。
小口現金出納帳の書き方
小口現金出納帳は、定額資金前渡制度(インプレストシステム)に基づいて記帳します。
記帳の流れ
- 会計係から小口係に一定額の小口現金を前渡しする
- 小口係は日々の支出を小口現金出納帳に記録する
- 一定期間(週末・月末など)に支出の報告を行い、使った分だけ補給を受ける
記帳のポイント
- 支出の内訳欄に「交通費」「通信費」「消耗品費」「雑費」などの勘定科目別に金額を記入する
- 合計欄で支出額の合計を計算する
- 次回の補給額 = 支出額の合計(定額資金前渡制度のため)
頻出問題の解き方
決算整理後残高試算表の作成(第3問対策)
簿記3級の第3問では、決算整理前残高試算表と決算整理事項が与えられ、決算整理後残高試算表を作成する問題が頻出です。
解き方のステップ
- 決算整理前残高試算表の数字を確認する
- 決算整理事項をひとつずつ仕訳する
- 仕訳の金額を、該当する勘定科目の残高に加減する
- すべての決算整理を反映した後の残高を記入する
- 借方合計と貸方合計が一致することを確認する
解答のコツ
- 決算整理仕訳を問題用紙の余白に書き出し、漏れがないようにチェックマークを付ける
- 集計ミスを防ぐため、電卓の使い方(メモリ機能の活用)を練習しておく
- 売上原価の算定(しーくりくりしー)は毎回出題されるため、確実に正解する
精算表の作成
精算表は、試算表→修正記入→損益計算書→貸借対照表の流れを1枚の表にまとめたものです。
解き方のステップ
- 修正記入欄に決算整理仕訳を記入する
- 試算表の金額に修正記入の金額を加減し、損益計算書欄または貸借対照表欄に記入する
- 収益・費用の勘定科目は損益計算書欄へ、資産・負債・純資産の勘定科目は貸借対照表欄へ記入する
- 損益計算書欄の貸借差額で当期純利益(または当期純損失)を計算する
効率的な学習方法
テキストと問題集の活用法
「スッキリわかる日商簿記3級」は、イラストやストーリー仕立ての解説でわかりやすく、初学者に人気のテキストです。このテキストで基本的な仕訳パターンを理解したうえで、本記事で解説した決算整理のポイントを確認すると、理解がより深まります。
テキストの学習だけでは本番の問題形式に慣れないため、「予想問題集」や「過去問題集」で実戦形式の演習を繰り返すことも重要です。
決算整理仕訳の暗記より理解を優先する
決算整理仕訳は、丸暗記よりも「なぜその仕訳が必要なのか」を理解するほうが応用力がつきます。たとえば、前払費用の仕訳は「翌期に属する費用を当期から除外する」という目的を理解していれば、金額の計算も自然にできるようになります。
よくある質問(FAQ)
決算整理仕訳は全部覚えないといけませんか?
簿記3級の範囲では、本記事で解説した6パターン(売上原価の算定・貸倒引当金・減価償却・経過勘定・現金過不足・消耗品)が主な出題範囲です。これらのパターンを確実に理解しておけば、試験で出題される決算整理問題のほとんどに対応できます。
経過勘定の問題が苦手です。どう対策すればいいですか?
経過勘定は「タイムライン(時間軸)」を描いて解くのが確実な方法です。問題文から「いつ支払った(受け取った)か」「いつからいつまでの期間か」「決算日はいつか」を読み取り、当期に属する期間と翌期に属する期間を図に書き出します。この方法を繰り返すことで、感覚的に解けるようになります。
商品有高帳の先入先出法と移動平均法、どちらが出題されやすいですか?
どちらも出題されますが、先入先出法のほうが出題頻度がやや高い傾向があります。両方の解き方を練習しておきましょう。移動平均法では端数処理を間違えやすいので、問題文の指示(四捨五入・切捨て等)を見落とさないよう注意してください。
試験本番で時間が足りなくなりそうです。時間配分のコツはありますか?
簿記3級の試験時間は60分です。おおよその時間配分は、第1問(仕訳15問):20分、第2問(補助簿・勘定記入等):15分、第3問(決算整理後残高試算表等):20分、見直し:5分が目安です。第3問は配点が高いため、時間を確保しつつ正確に解くことを心がけてください。
独学で簿記3級に合格できますか?
独学での合格は十分に可能です。「スッキリわかる日商簿記3級」などの定番テキストと問題集を使い、2〜3ヶ月程度の学習期間を確保すれば、合格ラインの70点以上を狙えます。ただし、わからない点をすぐに質問できる環境がほしい場合は、オンライン講座の併用も検討してみてください。
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※ 本記事の情報は2026年5月時点の内容です。最新情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
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